公明党埼玉県議団  
 
 
県議会6月定例会が7月4日、閉会しました。最終日の4日には、長寿医療制度をめぐり、討論が戦わされ、公明党の西田のり子議員が「最も討論らしい討論だった」と他の会派からも絶賛されました。全文をご紹介します。
西田のり子議員が、長寿医療制度をめぐり白熱の論戦
2008.7.4
76番、西田のり子です。
議請第5号および議請第6号の委員長報告に賛成の立場から、公明党を代表して討論を行います。

我が国で国民皆保険が完成してから、約半世紀が過ぎました。国民皆保険の最後の引き受け手になったのは、いうまでもなく市町村の国民健康保険です。
いらい、医療保険制度は国民の安心と生活の安定を支え、我が国は世界一の長寿国になり、高い保険医療水準を実現してきております。平成18年度の被用者保険の決算によれば、組合健保、政管健保、共済組合健保は合計4400億円の計上ベースの黒字です。被用者保険は安定しています。

しかしながら、市町村の国民健康保険は、世界に例を見ない急速な高齢化の波をまともに受け四苦八苦しています。30年前までは約2割だった被保険者に占める高齢者の割合は、今では5割を超えています。国保は、かつて自営業者と農業者のための保険といわれていましたが、今では無職の人の割合が半数に達しているのです。
長寿医療制度の廃止論者の方がテレビなどで「お年寄りも若い人も一緒になっているからこそ健康保険だ。お年寄りだけを斬り捨てるのは、うば捨て山だ」とおっしゃっていますが、こうした方は「市町村国保の実情をご存じでない」のでしょうか。「知っているのに国民の目をはぐらかそうとなさっている」のであれば、その見識を疑わざるを得ません。

市町村の国保では、保険料を納めない人が増え続け、未収の保険料は1兆円を超えています。滞納者は、全国で約1000万人といわれます。
したがって、本県において、市町村の一般会計から国保会計への法定外の繰入金は単年度で合計約300億円にも達するありさまです。
一方、医療費の支出面に目を転じれば、どうか。当然のことながら高齢になれば、健康を損ねる確率は高くなります。
人口比で10%程度である75歳以上のお年寄りが、医療費の支出全体の35.8%を占めています。
しかも、今後20年間で75歳以上人口は倍増すると予測され、従前の老人保健制度では、もはや対応しきれないという厳しい現実が、目の前に横たわっているのです。
このため、将来に亘り医療制度を持続可能な制度に再構築する必要性が約10年前から叫ばれ、後期高齢者医療制度が創設され、2年間の準備期間を経て、本年度から実施に移されたのです。

ところが、保険料の天引きの始まる前後から、負担面だけをことさら取り上げ、「高齢者いじめ」などと短絡的な批判が始まりました。
対案も示さず「後期高齢者医療制度の廃止」だけを訴え、「従前に戻せ」と喧伝(けんでん)されたわけです。
「うば捨て山」という品性のない表現も横行しました。しかしながら、従前からの老人保健制度の対象者も、長寿医療制度と全く同じ75歳以上の高齢者です。
老人保健制度の折りには声を上げず、長寿医療制度になった途端「うば捨て山」と叫ぶのは、制度云々よりもむしろ「党利党略のために騒ぎ、国民の不安をあおること」だけが目的ではないかと言われても仕方ありません。
国民の命を左右する医療保険制度が、政争の具にされることほど悲しい、嘆くべき事態はありません。政治の衰退です。
医療保険制度、とりわけ市町村国保が崩壊しかねない危機を回避することができなくなります。
 
従前の老人保健制度においては、加入している医療保険によって保険料を負担する人としない人に分かれていました。
市町村によって国保の保険料額にかなりの差がありました。本県においても、年金収入150万円の方の保険税が、入間市民であれば年間9200円、八潮市民は19200円、同じく年金収入300万円であれば、皆野町民は年間9万6800円、八潮市民は18万3200円と2倍の開きがあります。廃止すれば、こうした状況に舞い戻ります。

サラリーマンの加入する被用者保険からも新制度の創設について強い要請がありました。制度全体を見通して、長年にわたって議論を重ね、最大公約数を見いだした長寿医療制度です。廃止するわけにはいきません。
その上で実施後、明らかになったいくつかの運用面の問題点については、政府、与党で改善策を決定しております。

実施当初には、保険証の未到着など「いずれ収まる混乱」についてさえも「制度の欠陥だ」などと騒ぎ立て、新制度への誤解を誘発する報道もあり、廃止を求める声が出ました。
しかし、最近の世論調査では、「制度を維持して改善せよ」との声が過半数を超えています。

国民皆保険を堅持し、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとしていくための「長寿医療制度」は必要であり、廃止せよとの請願は無責任な主張であると言わざるを得ません。
廃止すれば、市町村の国民健康保険がうば捨て山になってしまいます。
セーフティーネットのさいたるものである国民皆保険が破たんします。
そんな無責任極まる廃止論に、見識ある本議会がくみするわけにはいきません。

最後に本議会は、長寿医療制度の実施に関わる予算約350億円を計上した20年度予算案、並びに関連条例案を一部政党を除く賛成多数で可決したことを忘れてはならないことを申し添え、「本請願を不採択とする」委員長報告に賛成いたします。
 
 
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