新たな感染症有事への備えについて

Q.蒲生徳明 議員(公明)

昨年末から年末にかけ、季節性インフルエンザの感染者が急増しました。昨年12月23日の週の定点報告数は1医療機関当たり76.56人となり、1999年の観測以来、史上2番目の感染者数を記録しました。
コロナ禍後は、今回の季節性インフルエンザだけでなく様々な感染症が猛威を奮っています。新型コロナウイルスの大流行が思い起こされ、パンデミックへの備えが大変重要だと改めて思います。
令和2年2月、新型コロナウイルスの陽性者が県内で初めて確認されて以降、約3年にわたりコロナの闘いがありました。当初思い起こすと、新規陽性者の急増で保健所がひっ迫し、感染症指定医療機関だけでは対処できなくなりました。
県はPCRセンターの整備や県独自の病床確保計画の策定、宿泊療養施設の開設など、検査や医療体制の確保と軽症者の療養体制などを粘り強く進め、その後も埼玉県クラスター対策チームによる徹底したクラスター対策や感染防止と社会経済活動との両立、また、埼玉県高齢者ワクチン接種センターによるワクチン接種の強力な推進など、様々な施策を多くの関係機関と連携し全力で進めてきました。
コロナ禍で試行錯誤の上、培った貴重な知見や教訓は、次の世代で生かさなければなりません。次なるパンデミックは必ず発生するものと認識し、検査や医療の混乱に周到に備える必要があります。また、コロナ禍での教訓を生かし、平時から役割分担を踏まえた体制を確保し、関係機関が不測の事態に対応できる取組を進めるべきです。
令和5年12月の県議会で、我が会派の深谷議員の質問に対し、大野知事は医療機関との協定を通じ、医療提供の分担、確保を図っていく趣旨の答弁をされました。その後、令和6年2月県議会で第8次埼玉県地域保健医療計画を定め、医療機関のみならず検査・宿泊療養施設についても協定締結の目標を定めていますが、現在の協定締結の状況について、知事に伺います。
また、県は昨年11月に感染症FEMAの訓練を初めて開催し、多くの関係機関が参加したと聞いています。私は、この感染症FEMAこそ県内全体の連携を強化し、対応力を向上させる取組として極めて効果が高いと期待します。この訓練を一過性とせずに、訓練を通じ確認された課題を踏まえながら、より良いオペレーションにつなぐことができるよう継続した取組が必要だと思います。
そこで、医療機関などと連携した協定の実効性を確保するためにも、様々なケースを想定した感染症FEMAの取組を継続して行い、進化させることが不可欠であると考えますが、知事の御所見を伺います。

A.大野元裕 知事

新型コロナウイルス感染症による猛威がいまだ鮮明な記憶として残っている中、この年末年始には、観測史上2番目となるインフルエンザの急拡大を迎えました。
医療機関をはじめとする皆様の御協力に感謝いたします。
本県では、パンデミックの備えを含め、「激甚化・頻発化する災害への危機対応」を歴史的課題と位置付け、危機管理の要諦として想像力と準備を磨き上げることを常々申し上げております。
想像力を働かせ、あらかじめ対応方針となる戦略目標を定め、その目標を実現するための戦術を構築していくことが必要であり、そして、そのための体制構築が極めて重要です。
昨年度、御議決いただいた第8次埼玉県地域保健医療計画では、パンデミック時に必要となる医療や検査等の体制について、あらかじめ数値目標を設定し、平時からの準備を定めました。
この数値目標の下、関係機関の皆様に、パンデミックにおけるそれぞれの役割について説明を尽くしたところ、協定の締結を通じて目標を上回る体制を確保することができております。
例えば、流行初期において、病床は1,200床、発熱外来は1,100機関、宿泊施設は1,000室の確保目標を定めましたが、協定締結を通じて、病床は1,494床、発熱外来は1,138機関、宿泊施設は2,001室の確保につなげることができております。
次に、感染症FEMAの取組を継続して行い、深化させることについてであります。
協定締結により確保した体制については、パンデミック発生時に、確実に機能させなければなりません。
令和7年1月、新型コロナへの対応を踏まえ、パンデミックにおける県の対応指針として、埼玉県新型インフルエンザ等対策行動計画を11年ぶりに改定をいたしました。
新興感染症の発生に際しては、正に、協定があるだけではなく、これを実効的に推進するために、平時からの備えの充実が必要で、この取組として、埼玉版FEMAを位置付けているところであります。
全てのステークホルダーが、あらゆる事態に対し、想像力を働かせながら、連絡体制、役割分担、状況に応じた連携及び業務フローなどを確認することによって、迅速な体制移行や感染症対策の実行につなげることを目的としたものであります。
議員お話しのとおり、令和6年11月、埼玉版FEMAによる、流行初期を対象とした1回目の感染症対応訓練に取り組みました。
令和7年度は、流行初期を想定した訓練に加え、新たに流行初期以降の訓練についても予算案を提出させていただきました。
埼玉版FEMAを不断に実施し、訓練を通じて確認された課題を検証するとともに、想像力を働かせ様々なケースを想定し訓練を重ねることで、県全体の対応力を「ワンチーム埼玉」で高めてまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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