Q.蒲生徳明 議員(公明)
今回の防災基本計画の修正に当たって盛り込まれた福祉的な支援について、大阪公立大学大学院の菅野拓准教授は、自治体は日々福祉に関わっているものの、現場でケアを担っているのは社会福祉法人やNPO、企業といった民間団体だ。災害時にはこうした民間による取組がなければ、地域の被災者の福祉は立ち行かなくなる。加えて、被災者が抱える課題は多岐にわたり、弁護士や建築士など幅広い専門職との連携が必要となる。多様な課題に対し伴走的で支援する災害ケースマネジメントの各種の取組などを参考に、ふだんから関係者が集まる場を設けるなど、官民協働を強化していく仕組みづくりを進めるべきと主張しています。大切な点だと思います。
そこで、どの県よりも福祉の視点に立った防災施策を進めるためにも、福祉関係者との官民協働は重要だと考えますが、知事の所見を伺います。
A.大野元裕 知事
いざ大きな災害が発生する場合、被災した福祉施設に入所されている方や、避難所に避難したり自宅にとどまっている要配慮者に対し、できるだけ早く福祉的な支援を提供する必要があります。
現場が混乱し、行政による支援が十分に行き届かない中で重要な役割を果たすのが地域の福祉関係者であります。
能登半島地震でも福祉関係団体職員や専門資格を有する方が機動的に支援活動を行ったと聞いています。
発災後に福祉的支援をスムーズに提供するために、平時から行政と福祉関係者とが訓練を実施するなど、支援体制の備えが極めて重要です。
令和6年9月には、埼玉版FEMAの枠組みの下、風水害時における医療・福祉に関する避難生活支援として、多様な関係者の参画を得て、避難所での健康管理と生活再建についての図上演習を行っており、議員御指摘のどの県よりも福祉の視点に立った防災訓練を行っているつもりであります。また、県では、福祉施設が被災した場合でも、入所者への福祉サービスの提供を継続できるよう、登録した福祉施設が相互に必要な人員や物資を支援する「福祉施設相互支援ネットワーク」を構築しております。
このネットワークは、県が事務局となり、登録施設間での職員派遣や利用者の受入れ、物資の提供等の調整を行っております。
さらに、県では、埼玉県災害派遣福祉チームDWATを組織し、避難所などへ社会福祉士や介護福祉士、看護師などを派遣し、要配慮者の福祉ニーズの把握や相談対応を行うとともに、被災した福祉施設に対する応援業務などを行っています。
坂井学内閣府特命担当大臣は先日の記者会見の中で、災害対策基本法等改正に関連し、DWATの活動範囲を在宅や車中泊の被災者にも拡大すると言及しており、今後、支援を更に充実したいと考えています。
加えて、令和7年度から新たに大規模災害発生時に県内医療機関の協力を得て、JRATを避難所に派遣することで、避難者の生活不活発病や災害関連死を予防し、自立した生活に向け支援してまいります。今後も、福祉関係者と官民一体で、福祉的視点に立った防災施策を進めます。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
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