Q.蒲生徳明 議員(公明)
一昨年に「こども大綱」が決定し、そこにこども・若者の意見形成支援が明記されました。当事者であるこども若者社会に参画する上で、欠かせない意見を表明しやすい環境づくりが社会全体で始まっています。
社会参画について私も共感するNPO法人わかもののまち代表、土肥潤也さんの主張を紹介します。
今、世の中には、こどもや若者が国や社会のことを考えるのは難しい、機会を与えても意見が言えないのではと思い込んでいる人も多い。これは裏返えせば、若者の意見に接する機会が少ないことを表していて、大切なのはこども若者の社会の参画を一過性のはやりに終わらせないことだ。また、こども若者が意見を言える環境を整え、単に意見を聞いて終わるだけでなく、実際に社会制度の改善に生かされる仕組みづくりが大事だと述べています。必要なことは、こども若者が日頃から大人と話せる機会をつくり、自分の意見がしっかり受け入れられるといった信頼感や、自分たちの意見で社会をより良く変えられるという自己効力感を生むことだと主張しています。
そして、それは何も審議会にこども若者を呼んだり、自治体職員が突然学校を訪問し、町の基本計画への意見交換をさせてほしいなどと呼び掛けたりすることではなく、こども若者の意見形成を日常の市民レベルの体験を通して支えていくことが、当事者のみならず私たち大人社会にも好影響をもたらすんだとおっしゃっています。
私ごとですが、昨年、マンションの自治会役員となり、地域の町会連合会の会合に何度か参加しました。地域活性化や地域の問題点を話し合う大事な会合でしたが、夜の開始時間にもかかわらず、その場に若者は一人もいません。
例えば、JCと若者が積極的に地域づくりを進めている例は大変評価しますが、そこに初めから参画できるのはJCの会員です。私は、様々な環境で働き、思いを抱える若者は、いろいろな社会活動の分野にある面気軽に参加できる環境をつくるべきと考えます。その際、単に意見を聞くという場への参加ではなく、若者が主体的に参画できることが大切です。
参加して意見は述べられるとしても、具体的に実行する形をつくる中に若者が入りにくいのが現実です。私が埼玉県に求めるのは、参加し意見を聴く場をつくることから進化した若者の主体的な参画の場をつくることです。
そのためには、やはり若者に特化した担当課が必要と考えます。一例ですが、北九州市は日本一若者を応援するまちを目指してZ世代課を立ち上げ、地域一体で若者政策の充実に取り組んでいます。
埼玉県は急速に進む少子高齢・人口減少社会に直面する中で、こども若者は一層重要な存在です。県に若者政策に専門的に取り組む課を設け、いつも若者の幸福を考え、若者施策を進めるとともに、政策づくりに様々な立場の若者を参画させることを進めてはと考えます。
そして、最も難しい課題は、自力で発言することが困難なこどもや若者の声をどのように把握するかということです。支援や救済ニーズが最も高いこどもや若者の声を聞き、政策に反映する努力をしなければ、お飾りの参画政策になってしまいます。この点からも、正に部局横断の若者専門の担当課が必要と考えます。
そこで、埼玉県が目指す若者の主体的な社会参画の在り方について、また、若者専門の担当課をつくることについて、知事の御所見を伺います。
A.大野元裕 知事
県政のみならずあらゆる分野において、若者の視点を尊重し、若者の意見を反映していくことは非常に重要だと思います。
私は、令和6年11月1日に埼玉大学で、同8日には立教大学で学生さんたちと意見交換を行い、学生から様々な政策提言を頂きました。
若者ならではの自由な発想による提案に考えさせられ、大いに刺激を受けました。
また、以前、御党の若者の集まり「ワカモノのミカタフェスティバル」にもお誘いをいただき、御意見を聴かせていただき、刺激もいただきました。
さらに、「埼玉県こども・若者計画」の策定については、職員が直接、学校などに足を運び、大学生、特別支援学校卒業生、外国籍の若者など計80名以上の若者からこども・若者政策に関する意見をお伺いし、計画案に反映をいたしました。
例えば、「生きづらいこどもや若者がSOSを発信できる場所の認知度が低い。」という御意見を受け、ひきこもりの相談窓口について、XやYouTube等を通じ広く周知を図る施策を計画案に盛り込みました。
また、令和6年度に開設したバーチャルユースセンターでは、こどもや若者が交流の中で自発的に自らの考えを発信できるプログラムを実施し、潜在的ニーズを顕在化させることに努めており、今後はそれらを県政に生かせるよう工夫をしてまいります。
まずは県が、こうした若者の自主的意見を県政に取り入れる取組を積極的に展開することで、若者の社会参画につながる環境づくりを進めたいと思います。
次に、若者専門の担当課をつくることについてであります。
県では、県民生活部青少年課が中心となって、各部局が連携し、若者政策を進めています。
「埼玉県青少年健全育成・支援プラン」には、若者施策を含む10部局49課所、88の施策が位置付けられ、部局の枠を超えて施策の実現に取り組んでまいりました。
本プランに位置付けられた施策は「埼玉県こども・若者計画」に引き継ぐこととし、引き続き、全庁一体となって取り組んでまいります。
議員御提案の専門の担当課を設置することですが、福祉、保健、教育、就労といった様々な分野から若者世代向けの施策だけを切り出すことになることから、各分野において体系的で一貫した政策を実現することが困難になるなどの課題もあります。
その一方で、政府のこども大綱は、若者を含めて「こども」と定義し、県としてもプロジェクトチームでこども施策を全庁的に推進してまいりました。
また、令和6年度には、こども政策局長を新設し、こども政策課並びにこども支援課への再編等も行いました。まずは、「埼玉県こども・若者計画」を推進する「次世代育成支援対策推進庁内会議」を活用し、県庁ワンチームで若者施策にしっかりと取り組み、若者の意見を政策に反映することで、誰一人取り残さない社会の実現を目指してまいりたいと思います。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。